オペラ「ギヨーム・テル」

気温17度。風が少し強いものの過ごしやすい一日でした。今日はザールラント州立劇場でオペラ「ギヨーム・テル」、日本語では「ウィリアム・テル」(ロッシーニ作曲1829年パリ初演)のプレミエ公演があります。今シーズンから劇場総支配人が替わり、その最初の演目です。言ってみれば今後の劇場のあり方を見せる演目と言えるかもしれません。序曲が非常に有名ですが、歌手の人数や技術的な問題で上演される回数が少ない演目です。

開演は午後6時。少し前に劇場に着きました。今日は新しい劇場総支配人の新シーズン最初の演目ということもあって、おそらく政府関連の招待客も多いと思われます。黒の正装率が高く感じられます。

休憩中の空。

公演後。

プレミエ公演独特の雰囲気があり、多いに盛り上がった公演でした。特にオーケストラと合唱、歌手陣に対するブラヴォーが大きく、拍手も手拍子になるような盛り上がりがありました。

個人的には、演出が好みではありません。暴力的、残虐的、下ネタ的、安易な発想、今回の場合は目出し帽に機関銃の人たちなど時代に即していない点、暴力に対して暴力で解決する点など、それらが露骨すぎて全く好みではありません。カーテンコールの時に演出家が舞台に出てきたときには大きくはないですがブーイングも出ていました。また一部の歌手陣にもブーイングが出ていましたが、彼らは悪役を演じた人たちで、言い換えればそれだけ熱演だったと言えます。個人的な好みは別として、観客をそこまで取り込めたというのでは、大成功な公演だったと思います。

一般的に上演が難しいとされる「ギヨーム・テル」が新体制の最初に上演されたこと、今回の公演を観てみると、あくまで個人的な感想、感じたことですが何となくですが国家間の平和を願い、共存関係を築いていこうというより、これから隣国を攻撃していこうというような雰囲気が感じられました。そのようにならないと良いのですが。