オペラを観に

今日は天気予報を確認していませんが、おそらく25度以上ある暑い一日でした。

午後7時半開演のオペラを観にザールラント州立劇場に行きました。今日がプレミエのグノーのファウスト(1859年パリ初演)です。暑い季節のプレミエは、開演前に着飾った人たちが外でシャンパンなどを飲んでいることが多く、独特な雰囲気があります。

この季節のオペラで良いのは、休憩がある午後9時半頃でも、まだ明るいということ。気持ち良さがあります。

終演後、午後11時過ぎです。気温が高いからか、多くの人が外にいます。レストランやバーもテラス席を出しています。

ところでオペラにおいて最も重要なものは演奏ではなく、舞台セットや衣装、特に演出など視覚的なことだと思われます。それによって作品の印象が変わり、もう一度観たい、時には人を誘ってもう一度観たいと感じられる時もあります。オペラを活かすもダメにするのも演出によるところが大きいと思います。今回のファウストは前半は演出のコンセプトが見えてこず、単にあらすじをなぞっただけのように見えました。そして後半は全く意味が分からない点が幾つかあり、また下品な場面もありました。舞台上に出てくるスクリーンで補足映像やテキストを表示させることもありましたが、それだけ舞台上の表現が足りていないということかもしれません。いずれにしても残念ながら私は視力が弱くて読めませんでした。

何より下品な場面は演出の意図が分からず、私の前に座っていた人も頭を抱えるようにして首を左右に振り、彼はその後、最後まで一度も拍手をしませんでした。今回は歌手やオーケストラの演奏が生きた演奏で非常に良かっただけに、それを活かしきれていない演出が残念でした。カーテンコールで指揮者が出てきたときが最も盛り上がったのが、それを示しています。大きな拍手とブラヴォーが飛んでいました。それだけ演奏が良かったと言えます。演出家が出てきたときはブラヴォーもブーもありましたが、どちらといえばそこまで盛り上がらずといった印象です。好みの分かれる演出ですが、演出家のカーテンコールが盛り上がらなかったというのは、良くも悪くも弱かったと言えます。もう一度観てみれば印象も変わる可能性があるので、また観てみたいと思います。