映像と音楽

今年の夏、アマディスカ・サロン・コンサートで生演奏と写真のコラボをしました。
2曲です。リゲティ作曲の無伴奏チェロソナタとラフマニノフのヴォカリーズ。
そのリゲティの作品はそのために写真を新たに撮りました。
初めてこの曲を聴いたときの印象だけでなく、何度も何度も聴いて分かってきたこと、
それらを意識して、自分の中でイメージを作っていきました。
そしてそのイメージを幾つかのキーワードにして、それを元に写真を撮りました。
ところでリゲティの無伴奏チェロソナタ1番には「対話」というタイトルが付いています。
写真の中の世界でもそれを意識しましたが、実際に他の誰かとの対話ではなく
自己の中での対話、外の世界との対話などを意識しました。
それ以外のキーワードは幾つもありますが、
例えば「静の中にある動」や「内なる情熱」といったものです。
次の一枚が私のイメージしたリゲティの無伴奏チェロソナタです。

リゲティ

この作品ではキーワードの一つに「自己の内なる気持ち、目線」といったものを意識し、
そのためにカメラを使いました。私が愛用しているライカM3です。
ただ、カメラを手にしても、単純に持っているだけでは人物(撮影者)の気持ちは表現されないので
実際にフィルムを入れてシーン毎に自由に撮ってもらいました。

リゲティ

後日、そのフィルムを現像に出し、お店でプリントしてもらいました。

写真

ところで今回、音楽の世界をイメージするとき、
演奏者のことも心のどこかで意識していたと思います。
女性チェリストでしたが、彼女の持っている雰囲気が
写真の中の世界と上手く繋がった気もします。
もし奏者が男性であれば、このような写真にはならなかった可能性もあります。
そしてモデルを引き受けてくれた友人には感謝です。
自分がイメージしている世界を本当に上手く表現してくれました。
彼女以外では作り得なかった世界かもしれません。
2日間の撮影で撮った枚数もかなりの枚数になりました。
このモデルさん、演奏者、信頼できるお二人のおかげで
自分がイメージするリゲティの無伴奏チェロソナタの世界が出来たと思います。
どうもありがとうございました。
またこれらの写真は可能ならば映像に再構成したいと思います。