先日の記事で、ホンブルクで開催されたのみの市で
カメラを購入したと書きました。
そのカメラの話です。
のみの市を訪れたときには、オールドレンズやヴィンテージカメラなどを探しています。
特にレンジファインダーのカメラが好きなので、そういったものがあって
状態が良ければ購入したいと考えていました。
すると、レンジファインダーのカメラがありました。
革のケースに入っているのを目にしたとき、どのメーカーのどういったカメラか分かりませんでした。
革ケースから出しても見たことがないカメラです。
レンズがカール・ツァイス・イエナなので旧東ドイツ製だと分かります。
シャッターも切れますし、どのシャッター速度も問題なさそうに見えます。
交渉して最初の値段より安く購入できました。
のみの市の面白さはこういった交渉もあるかもしれません。
調べてみるとこのカメラは旧東ドイツ、ヴェルタ社製ベルミラWelta Belmiraというカメラです。
1948年以降製造ということ。
面白いのはファインダーが右側に付いています。
そしてシャッター巻き上げレバーが左にあります。
つまり左利き用のカメラです。
レバーが左側は問題ないですが、ファインダーが右側というのは使いづらいと感じました。
一体どのような写真が撮れるのか楽しみです。
そしてもう一台、非常に珍しいカメラがありました。
この日は出品者数がいつもの倍以上だったので
出品されているカメラの数も多いかもしれない、
もしかするとライカもあるかもしれない、と友人と冗談で話していました。
これまで色々なのみの市を見てきましたが、ライカのコンパクトカメラはあっても
Mシリーズやスクリューマウントのカメラは見たことがありません。
一度だけ目にしたことがありますが、革のケースだけでした。
そんな話をしながら、あるところを覗いて裏返しに置かれている
カメラケースを表に向けました。すると、なんと、ライカと書かれています。
しかも中身も入っているようです。ずっしりとした重みがあります。
開けてみました。
中から出てきたのは金色のカメラ、スクリューマウントのLeica IIです。
しかも「空軍所有Luftwaffen Eigentum」の文字があり、
ドイツ第三帝国の紋章、ハーケンクロイツが掘られています。
カメラの名前はBildberichter、Bildは写真や絵の意味で、
Berichterは報告する者という意味です。
この単語ではフォトジャーナリストといった感じです。
ドイツ空軍が空から色々と写真を撮っていたのかもしれません。
しかししかし!これは実はそのように見せかけて作られた偽物です。
旧ソ連製のゾルキ社かフェド社のカメラをベースにしてコレクター向きに作られたものです。
製造は旧ソ連。1990年頃のものとされています。
いわゆるフェイクライカというものですが、目にした瞬間
偽物と分かっても興奮しました。
状態は古さが感じられるものの、シャッターを切ることは出来ます。
フィルムも巻き上げられますし、どのシャッター速度も問題ないようです。
ただピントが合いません。レンズとファインダーが連動していないようです。
レンズがピンで固定されているので、ドライバーがなくては
外して調べることも出来ません。迷いましたがシャッターは問題なく切れるので購入しました。
現時点でもピントは合わせられませんが、撮影そのものは出来ます。
家に帰ってからピンを外すとどうやら中のバネが外れており
レンズとファインダーが連動しないようになっています。
元からそういった仕様というより壊れているといった状況です。
ザールブリュッケンにはこういったヴィンテージカメラの修理業者の方もいるので
一度見てもらい、直せるようなら直して撮影してみたいと思います。
この日は非常に珍しいカメラ2台を手に入れて、少し興奮してザールブリュッケンに戻りました。
当時のカメラがどういった写りをするのか今から楽しみです。