フェネトランジュ その2」の続きです。
ひっそりとした街の中心に教会が見えました。

昔はこの道を馬車が通っていたのかもしれません。
村と言った方がよいような小さな街なので、
例えば教会での結婚式なども
街を挙げてのものだったと思います。
大勢の人が沿道で手を振り、歓声を上げる姿が目に浮かぶようです。

教会の塔は街の中で頭一つ飛び出て存在感がありますが、
それだけ教会の力が大きかっただけでなく
逆に見えないと困ると感じた人も少なくなったかもしれません。
ちょうど鐘の音が聞こえました。
鐘の音が鳴る度に何かが軋むような音が聞こえます。
遠くまで響かせるために大きな音が鳴っていると思いますが
教会の鐘は時報の役目も果たしていることを意識すると
それだけ生活には無ければならないものかもしれません。
もしかすると教会がなければ生きていけない人もいたかもしれません。
ここの街に住む人にとって教会や宗教は
その人の人生の一部になっていたかもしれません。

教会正面に来るとより存在感があります。

礼拝堂の中に入るとひんやりとした空気があり
独特の音の響きがありました。

誰もいない教会でしたが明かりが点いています。
祈りで訪れる人がいるのでしょうか。

窓から差し込む光が綺麗です。

側廊の石の床がなお冷たさを感じさせるものになっています。

誰も人がいないにもかかわらず
内陣では何故か人がいるような感覚を覚えました。

きっとこの教会には多くの人が集まっていたのでしょう。
祈りのミサだけでなく、例えば結婚式など。
床の石は長年その上を人が歩いたからか
すり減ってくぼんでいました。
人が見えない場所にもかかわらず人が感じられる場所です。


教会の直ぐ側にあった細い路地。
教会へ通う人のために設けられたものかもしれません。

訪れた時は人の気配がほとんど感じられない街でしたが
それでも友人とひそひそ話のような話し方になったのは
無意識に人の気配を感じていたのかもしれません。
そういった感じ方はこれまでありませんでした。
それがフェネトランジュという街ならではの雰囲気か
それとも時間帯や天候による偶然か分かりませんが
独特な街の雰囲気を感じられたのは良かったです。
友人にも感謝!です。