額装

写真の額装です。
今回の写真展は絵画展のように展示したいと考えたので
額は全てが同じものではなく
色々な写真額、デッサン額を注文しました。
写真それぞれにあった額を考えて
複数のメーカーに注文しました。
実際の写真の額装ですが、どのようにするか試行錯誤して
最終的に台紙にコーナーを貼ることにしました。
そのポケットに写真を挟みます。
これだと写真にもマットにも糊が付かないので交換も可能です。
ただ台紙が厚紙の場合は、額の厚さを超えてしまって額に入らないことがあったので
額に最初から付いている薄い紙にコーナーを貼りました。
写真がマットに隠れる部分はそれぞれ5mmなので
最初はマットの窓から5mmを測ってそこに鉛筆で短い線を引いていましたが
それだと逆にきつくなったので6mmにしました。

写真関連

そこにドイツで購入したコーナーを貼ります。
写真用のもので糊や素材が写真に影響を与えないものになっています。
コーナーを貼ると、ポケットの部分を少し爪でめくるようにしておきます。

写真関連

裏打ちシートを貼った写真を入れますが
分厚くてなかなか入りません。先の工程で爪でめくるようにしておくと
上手く入りました。
写真を持つ際はいつも手袋をしていますが
写真に直接触れないように薄紙を載せています。

写真関連

額装の方は一日以上かかりました。
しかし額に入った写真を見ると気持ちの高ぶりが感じられます。
展示までもうすぐです。

裏打ち

今回の個展の作品はA3までなので
ドイツでプリントした作品をこのように箱に入れて運びました。
写真一枚毎に薄紙を挟んでいくので
想像したよりも分厚く、重くなりました。

写真関連

日本に着いてから早速裏打ちシートを貼ります。
ドイツでこれが出来れば良かったのですが
ドイツにはどこをどう探しても裏打ちシートが存在しません。
日本で売られているメーカーのドイツのサイトを見てもなく、
ネットを色々調べても裏打ちシートの情報がありません。
写真の文化的な違いというより湿度など環境の違いかもしれません。
ただドイツで裏打ちを調べていると、ドイツではアルミに貼り付けることがあるようです。
しかもアルミシートは一枚ごとに販売されており
それほど安くありません。またそれ用の糊もなく
写真などでも使える糊やテープを使用するようです。
裏打ちに関しては日本の方が断然良いと思います。
裏打ちシートに関わらず、写真関連のものでは
袋を閉じるテープは使う際に全てはがします。
作品に着くことを避けるためです。

写真関連

裏打ちシートには引き抜き用紙と補助用紙があるので
それほど苦労せず貼り付けられます。
ただ一度貼ると剥がせません。また紙の上にゴミがあれば
それが突起となって作品側に出てくるということなので
羊毛ブラシで紙粉などを取り除きます。
このブラシはドイツで使っているものを持ってきました。

写真関連

裏打ちシートを貼る際は説明に従って作業しますが
その説明では左上と左下を合わせてとあります。
個人的にはそれだと少しずれて貼れてしまうことがあるので
左上と対角線上の右下を合わせてから左下を合わせています。
私はこの方がずれにくいような気がします。
といってもこれは作品の大きさや分厚さにもよるので
大きさによってはやはり左上と左下を合わせるのが良いのかもしれません。

写真関連

裏打ちシート貼りは6時間ほどで終了しました。
裏打ちシートを貼るのと貼らないのでは作品が全く違って見えます。
貼った方が作品が数倍良く見えます。
本当に僅かなことですが、大きな違いがあります。
例えば食材に対して器あり、器なしといった感じでしょうか。
同じ食材でも手のひらに載せるのと
器の上に綺麗に盛りつけるのでは見た目が全く違います。
あくまで個人的な印象ですがそれほどの違いがある気がします。
次は額装です。
ところで今日は満月ですね。
10倍ズームで撮りましたが、やはり遠いです。
35mm版換算で300mm、2倍になるデジタルテレコンを使って600mm。
それでも遠いですが、綺麗に見えました。

満月

印刷、ようやく終了。

今回の個展に出展する作品は全て自分で印刷しています。
モニタキャリブレーションしているのと、プリンターと用紙を合わせた
iccプロファイルのおかげでテストの回数も少なくて印刷できました。
今回の作品はプリンターと用紙との相性も良さそうです。
用紙は時間をかけて探したこともあって、
想像通り、またはそれ以上のプリントができたのは非常に嬉しいことです。
特にカラーでは私としてはこれまでで最高のプリントが出来た気がします。
多くの人に観ていただきたいという気持ちが強いです。
ところでこの写真は何故か直ぐに印刷がキャンセルされて
出力されてきました。原因は分かりません。
しかしこれを見て一枚の白い紙に色が乗ると
そこに新しい命が生まれるような感覚を覚えました。
それが作品と呼ばれるものかもしれません。

プリント

写真展ポスター

先日、校正したポスターが入稿されたようです。
A1、B1の大きなものでこれが会場周辺に貼られます。

山本英人写真展ポスター

今日は一日中、プリント作業をしていましたが
午前中にネットで注文していた用紙が届きました。
段ボールの中で緩衝材に包まれています。

プリント用紙

同じ用紙ですが2種類の大きさを購入しました。

プリント用紙

作品作りの作業時、プロファイルはAdobeRGBですが、
印刷時は用紙毎に合わせたプロファイルに変更します。
モニタ上でその雰囲気は分かりますが
紙の凹凸までは分からないので、プリントしてみると
色は合っていても印象が違うこともあります。
しかしそれを意識して用紙選択しているので
基本的にはイメージ通りです。
乾けば色が落ち着いて印象が変わるかも知れません。

印刷

プリントは難しいですが、楽しい作業でもあります。
今日も少し雨が降りました。おかげで少し気温が下がり過ごしやすくなりました。

ザールブリュッケン

写真展の案内

2015年8月4日(火)-8月9日(日)、京都駅前地下街ポルタ、ポルタギャラリー「華」にて
山本英人写真展「重なる写真が広げる世界」を開催します。
時間:11:00~19:00(最終日は17:00まで)入場無料

山本英人写真展

先日、案内ハガキの印刷、館内用ポスターの校正が終わりました。
今回の作品はカメラだけでなくPCを使って合成した作品です。
PCを使った画像編集は人によってどこまで良いとするか様々だと思います。
レタッチそのものに抵抗がある人もいれば、写真を使って色々なデザインをする人もいます。
カメラ内で出来ることだけが写真という見方もありますが
高速シャッターや長時間露光だけでなく、例えばモノクロや多重露光も
一般的には人間の目には見えない世界で、カメラという機械が創る世界です。
私はRAWで撮影して、PCで現像していますが、
その作業でも好みの色合いにしたりその時の感情に沿った雰囲気に仕上げます。
私にとってはPCは作品作りにおいて欠かせないもので、
言い換えればPCでの作業も撮影の一部と言えるかもしれません。
つまり写真はカメラだけで創る世界ではないと感じています。
と言っても以前の私ならここまで感じていなかった、意識していなかったかもしれません。
今回の切っ掛けは天体写真の合成です。星の軌跡の写真は
数十枚、数百枚の写真をPCで合成します。比較明合成です。
また最近は同じ風景で露出の違う画像を重ね合わせたHDR、
複数の画像からなるゴルフのスイングなどを一枚に合成したものをよく目にします。
いずれも機械があるから出来る世界で、機械(カメラ、PC)での合成というものに
抵抗が少なくなってきているのかもしれません。
そしてもう一つの切っ掛けはカメラ内の多重露光機能。
再生画に重ねていけば、無限に重ねていくことも可能です。
その際に色々な効果が生まれます。そこに興味を覚えました。
同時にそれをPCでもやってみようと思いました。
単純に重ねるといってもデジタル合成では様々な方法があります。
先程も書いた「比較明合成」、普通に重ね合わせる「通常」、
影を合成する「乗算」、ハイライトを合成する「スクリーン」など。
写真の選び方、重ねる合成の種類、順番などを変えることによって
無限の可能性があります。重ねるためのそれぞれ一枚の写真でも例えば彩度を高くする、
コントラストを高くする、モノクロで撮る等、撮影時においても、
また現像時においても様々な可能性があります。
そのようにして重ね合わせて一つの風景を作った写真の写真展です。
それらをドイツのアート紙にプリントします。
それによってより独特な雰囲気が生まれる気がしています。
楽しんでいただければ幸いです。
皆様のご来場、お待ちしております。
よろしくお願いいたします。

音楽と写真のコラボ

前作に続いて第三弾の公開です。
前回も書きましたが生演奏と動画では写真の作り方が全く違ってくると思います。
今回もそうですが既に録音された音源を聴いて、そこからイメージを作りました。
♪バッハ:フランス風序曲 BWV 831
J.S.Bach / Französische Ouvertüre
「湯浅聡子・ピアノリサイタル」(2011.10.27)
横浜みなとみらいホールにてライブ録音
(Photo : Eiji Yamamoto)

音楽と写真のコラボ

音楽と写真のコラボです。
私が意識しているのは音楽と写真の関係が
スライドショーでもなくBGMでもなく、
音楽(特に生演奏)と写真(映像)で一つの世界を表現したいと考えています。
その作品を作る際に考えることの一つが写真の枚数です。
ただ同じ曲でも生演奏用と動画用では写真の作り方が変わってきます。
当然、演奏者によってもイメージが変わります。
今回は録音に合わせて写真を作りました。
ところで写真は一瞬を切り取ったものですが
そこには無限の時間が詰まっており
言ってみればその写真を観た人が
自身の中に新たな時間を作り出す芸術だと思います。
そのことを意識すれば写真を観るのが
長い時間であれば、その分、理解も深まると言えるかもしれません。
しかし逆に流れる時間を意識させたいために
一枚一枚の時間を短くすることも可能です。
次の作品、前者は春をイメージし、16分音符を意識して写真を選びました。
転がるようなイメージから角度も意識したつもりです。
後者は一年を通してのイメージですが、枚数を入れることによって
月日の進む早さなどを意識しました。
♪スカルラッティ ソナタ ニ長調
(Scarlatti Sonata D dur)L.14、K.492
「湯浅聡子ピアノリサイタル」(2007.5.13)
東京文化会館にてライブ録音
(Photo : Eiji Yamamoto)

♪メンデルスゾーン プレリュードとフーガ OP35-1 より
「湯浅聡子ピアノリサイタル」(2008.12.5)
横浜みなとみらいホールにてライブ録音
(Photo : Eiji Yamamoto)

今後、こういった作品も増やしていきたいのと同時に
生演奏と写真のコラボも色々な場所で出来ればと思っています。

映像と音楽

今年の夏、アマディスカ・サロン・コンサートで生演奏と写真のコラボをしました。
2曲です。リゲティ作曲の無伴奏チェロソナタとラフマニノフのヴォカリーズ。
そのリゲティの作品はそのために写真を新たに撮りました。
初めてこの曲を聴いたときの印象だけでなく、何度も何度も聴いて分かってきたこと、
それらを意識して、自分の中でイメージを作っていきました。
そしてそのイメージを幾つかのキーワードにして、それを元に写真を撮りました。
ところでリゲティの無伴奏チェロソナタ1番には「対話」というタイトルが付いています。
写真の中の世界でもそれを意識しましたが、実際に他の誰かとの対話ではなく
自己の中での対話、外の世界との対話などを意識しました。
それ以外のキーワードは幾つもありますが、
例えば「静の中にある動」や「内なる情熱」といったものです。
次の一枚が私のイメージしたリゲティの無伴奏チェロソナタです。

リゲティ

この作品ではキーワードの一つに「自己の内なる気持ち、目線」といったものを意識し、
そのためにカメラを使いました。私が愛用しているライカM3です。
ただ、カメラを手にしても、単純に持っているだけでは人物(撮影者)の気持ちは表現されないので
実際にフィルムを入れてシーン毎に自由に撮ってもらいました。

リゲティ

後日、そのフィルムを現像に出し、お店でプリントしてもらいました。

写真

ところで今回、音楽の世界をイメージするとき、
演奏者のことも心のどこかで意識していたと思います。
女性チェリストでしたが、彼女の持っている雰囲気が
写真の中の世界と上手く繋がった気もします。
もし奏者が男性であれば、このような写真にはならなかった可能性もあります。
そしてモデルを引き受けてくれた友人には感謝です。
自分がイメージしている世界を本当に上手く表現してくれました。
彼女以外では作り得なかった世界かもしれません。
2日間の撮影で撮った枚数もかなりの枚数になりました。
このモデルさん、演奏者、信頼できるお二人のおかげで
自分がイメージするリゲティの無伴奏チェロソナタの世界が出来たと思います。
どうもありがとうございました。
またこれらの写真は可能ならば映像に再構成したいと思います。

振り返ってみて

教会の鐘の音を聞くと、ドイツに戻ってきた気がします。
今回の日本滞在は1ヶ月強ありました。飛ぶ前は長いと感じていましたが
実際はあっという間に過ぎていった気がします。
振り返ってみると、旅行らしい旅行は出来ず
日帰りで滋賀県北部の長浜に行っただけです。
そういえば以前書きましたが帰国時に2度は訪れるレストラン、
今回は一度も行けませんでした。
しかしこれらのことは言い換えれば、それだけ日々忙しく
充実していたと言えるかもしれません。
日本でお世話になった皆様、どうもありがとうございました。
仕事では特に2本のレンズ、そのうち1本はこの帰国で購入したものですが
それらが役立ってくれました。このノクチクロンが着いているカメラですが
この夏は電子シャッターが非常に役立ちました。

ザールブリュッケン

この夏の私の活動は

アマディスカ・サロン・コンサートでの
映像と生演奏のコラボでした。
以前、東京のソノリウムというホールで同じような映像と音楽の催しを開催しました。
そのときはドイツ歌曲で歌詞に合わせた写真を映しました。
今回は歌詞のない曲だったので自由に映像を作ることが出来ます。
2曲でしたが1曲は今回のために撮った写真で構成し、
もう1曲はこれまでに撮った写真の中から選びました。
ただソノリウムの時は1曲あたり5枚ほどでしたが、
これは写真が多いと、映像を観ることに意識がいって
生演奏に意識が行かなくなる可能性があるので
それを意識しての枚数ですが、今回は逆にあえて多めにしました。
1曲あたり30枚近く使いました。枚数が多い分、
プロジェクターを操作する回数も増えるので
写真で演奏している感覚がありました。

コンサート、高橋麻理子(チェロ)

来年の夏は京都で写真展(個展)を開催します。
またアマディスカの方は来年2度目を計画しています。
それ以外にも映像のあるコンサートが出来ればと思っています。
それらも含め幾つかアイデアがあるので是非実現させたいと思います。
色々と楽しみです。
詳細が決まればお知らせさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。

アマディスカ・サロン・コンサート

「アマディスカ・サロン・コンサート ~音楽・写真・ワイン~」
の当日を迎えました。
出演は谷祐子(ピアノ)、高橋麻理子(チェロ)、
山本のりこ(ソプラノ)、竹口苗里(ピアノ)、
野村武司(バリトン)、山本英人(写真)です。

コンサート

サロンでのコンサートで演奏者とお客様との距離が近いです。

コンサート

チケットは完売でした。どうもありがとうございました。

コンサート

プログラムは、モーツァルトやシューマン、R.シュトラウス、
武満徹、メンデスゾーンが演奏されました。

コンサート

コンサート、高橋麻理子

コンサート、山本のりこ、竹口苗里

コンサート

コンサート、高橋麻理子、山本のりこ、竹口苗里

コンサート、高橋麻理子

私も映像で2曲参加しました。
PCとプロジェクター、スクリーンを使用します。
プロジェクターに合わせて16:9の画像を作りました。
映像はプロジェクターで一枚一枚変更していきます。
言い換えれば写真で演奏するといった感じでしょうか。
当日、プロジェクターを操作した場所にビデオを設置しましたが
ビデオにはスクリーンの全てが写ってはいませんでした。
G.リゲティ : 無伴奏チェロソナタ 1. Dialogo
高橋麻理子 (Cello)、 山本英人 (Photo)

コンサート、高橋麻理子

S.ラフマニノフ : ヴォカリーズ 作品34-14
山本のりこ (Soprano)、 竹口苗里 (Piano)、 山本英人 (Photo)

コンサート、山本のりこ、竹口苗里

公演後、色々な方からの感想を頂きました。
どうもありがとうございます。
ここからまた新しい世界が広がっていきそうです。
コンサート本番後はワインの時間です。
出演者がドイツから持ち帰ったものを集めました。
ドイツのモーゼルやルクセンブルク、フランス・アルザスの白ワインです。
今回のコンサートは初めての試みでしたが
何でも手作りで出演者で色々と相談しながら準備をしました。
このグラスに関してもそうです。レンタルした方が安いのか
購入するなら、どんな種類でどこで購入すべきか、
ネットで調べながら話し合いが続きました。
第1回目ということで、準備や当日の面で反省点もありますが
次に繋がるイベントになったと思います。

コンサート

思い返せば準備には大変な面がありましたが
イベントそのものは非常に楽しい時間でした。
次回のアマディスカの活動は現時点では何も決まっていませんが
今から非常に楽しみです。
ご来場くださった皆様、どうもありがとうございました。
出演者及び関係者の皆様、お疲れ様でした。
色々な方に感謝のコンサートでした。
どうもありがとうございました。