人目に付かない

非常に急な階段です。
それほど高くはないですが、上に登ってから振り返ると
そのまま転げ落ちそうな感覚を覚えました。

日吉東照宮

「急な階段ですね」
それが上の受付での挨拶になりました。
聞けば、建造時に下から見えないように、人目に付かないように作れという
命があったと言うことです。
正面から見れば鳥居の奥の階段は暗くてはっきり見えず
上に何があるかは分かりません。
鳥居の前の緩やかな階段は、おそらくそれほど古くない時期に
作られたものかも知れません。
昔は木々の間にある細い一本道があるだけだと思うと
神社が木々に囲まれて、言い換えれば守られていたということでしょうか。

日吉東照宮

階段の上、そこにはまだ雪が残っています。
市内では雪がほとんど見られないので、
ここはそれだけ気温が低いのかも知れません。
奥にひっそりとした門があります。

日吉東照宮

更にその奥には建物があります。
拝殿と本殿が一体となっている権現造りです。
その建物は山の木々に守られて、音もなく静かに佇んでおり、
曇り空が似合っている場所に感じられました。

日吉東照宮

よく見てみれば装飾も立体的に作られているなど
手の込んだものがみられます。
ただ傷が付いていたり剥がれていたりするのを目にすると
少し残念な気もしますが、しかしそれがかえって
この場所の落ち着いた雰囲気を作り上げているような気もします。

日吉東照宮

中に入ると金色の装飾が目を惹きます。
そして壁などに描かれた人物画を目にすると
まるで奉られている神が孤独を避けるために
人を置いたようにも感じられました。
それがこの人目に付かない場所の
ひっそりとした孤独感をなお強めている気がしました。

日吉東照宮

盆梅展を訪れる

盆梅展を訪れました。
ですが時期がまだ早かったのか、咲いていないものが多く
梅のある空間は少し寂しい場所になっていました。

盆梅展

庭に回ってみると、雪が残り、その白さが目を惹きます。
曇り空から光が差し込み建物を照らしています。

盆梅展

建物内から、その光を見てみると良い影を作っているのが分かります。
そこにだけ暖かい温もりがあるようです。
僅かな光ですが、それでも温もりが感じられるほど
その場の空気は冷えていました。
しかし暫くすると梅が咲き、この空間はもっと華やいだ
別空間になるかも知れません。その頃が楽しみです。

盆梅展

湖の畔で

琵琶湖

湖の畔は思った以上に寒い場所でした。
どんよりとした曇り空のもと、湖から冷たい風が吹いているだけでなく、
静かな、しかし重い波音が、吹き抜ける風と一つになって
体の中を刺すようにして通り過ぎていきます。
寂しそうな風景がなお気温を下げているかも知れません。
周りに水は多いのに、何故か乾燥しているように感じられます。
そこにある親子のような大小の木が印象的でした。
寂しさと同時に小さな小さな温もりのようなものを感じました。

声が聞こえる場所

かつての学校だった建物です。
学校と聞いて人によっては小学校を想像したり
高校を想像する人など様々いると思います。
私は小学校を想像しました。
(実際の建物は初等科小学校の校舎)

歴史的建造物

現在、建物は本来の目的で使われることはなく
文化財として公開されています。

歴史的建造物

建物の中、一階は教室だったようですが、
空間があるだけでなく、一見しただけでは
そこから学校らしいものを感じるのは難しいように思いました。
しかし外から差し込む光を目にしたとき、
ここを小学生が出入りしていたのかな、と子供たちの
賑やかな声が聞こえたような気がしました。

歴史的建造物

桜の季節にはきっと美しい光景になると思います。
そんな季節、そこからは様々な声が聞こえてくるかも知れません。

歴史的建造物