オペラを観に

オペラを観にザールラント州立劇場を訪れました。演目はリヒャルト・ワーグナー作曲「タンホイザー」(1845年ドレスデン初演)。個人的に最も好きなオペラの一つです。

午後5時開演の少し前に劇場に着きました。ドイツ人にとっても最も好きなオペラ作品の一つといわれているだけに、チケットは完売で、また今日がプレミエ公演とあって普段よりも正装率が高く、独特の緊張感と期待や楽しみに溢れた開演前でした。

今回の作品は有名なファッションデザイナーが舞台衣装を手がけているとあって、公演前からテレビや新聞等でも話題になっていました。個人的にはこれまで他の劇場で何度か同作品を観たことはありますが、ここでは初めてなので期待して席に着きました。長い公演で休憩は2度あります。休憩時の空。

生演奏で好きな作品を聴けることはやはり嬉しいことです。

ところでザールラント州立劇場の座席は背もたれの後ろ側がエアコンの通風口になっており、涼しい風がながれています。暑かったのでそこに手を当てていると、横に座っておられた年配のドイツ人女性に声をかけられました。2回目の休憩のことです。

「このオペラは気に入っていますか」と声をかけられたので、最初は挨拶的に「はい」と答えたものの、直ぐに「ですが、個人的には演出や舞台が好みではありません」と続けると、この女性も同調されたようで、そこから会話が続きました。この方は歌手で舞台に載っておられることもあるとのこと。オペラや演出のことを話しました。この方の次回のコンサート予定を伺ったところでちょうど3幕の始まりとなりました。

終演は午後9時半頃。夕焼けが綺麗です。劇場前に別のイベントのテントが立っています。

公演の方は多いに盛り上がった公演でした。カーテンコールでは歌手や合唱、オーケストラに大きな拍手、そしてブラボーや黄色い声援が飛んでいました。しかし演出家グループ(演出家、衣装、照明)が出てきたときには幾つものブーイングが出ていました。公演中、休憩に入る前にもブーイングが出ましたが、言い換えればそれだけ期待していた人が多かったのだと思います。

しかしいずれにしても生演奏で好きな作品が聴けることは非常に嬉しいことで、それは幸せなことだと感じた公演でした。