ザールラント州立劇場新シーズン

ザールラント州立劇場の新シーズンが始まりました。
例年はテアターフェストという文化祭的なものが8月下旬にあって
9月中旬頃にシーズンが始まりますが、
今年は何故かテアターフェストが9月の最初にあり
その前にシンフォニーコンサートでシーズンが始まるという
少し不思議な日程になっています。
テアターフェストは野外コンサートなどがあって
新シーズンが始まる前のお祭りみたいなもので
それがあってようやくシーズンが始まるという気持ちになります。
しかし今年は順番が逆で劇場の人たちも
その点は不思議に感じているようです。
劇場側には劇場側の理由があるのかも知れません。
そしてその新シーズン2012/13年シーズンの
最初の演目がザールラント州立オーケストラによる
シンフォニーコンサートです。
演目はヴェルディ(1813-1901)の「レクイエム」(1874年ミラノ初演)です。
シーズン最初の演目がレクイエムというのも不思議な点でした。
ここ最近、最高気温が30度を超えていましたが
この日の予想最高気温は15度と肌寒く少し雨も降っています。
場所はコングレスハレで
指揮は同劇場音楽総監督トシユキ・カミオカ(上岡敏之氏)。
開演前のホールの前ですが
シーズン初日にもかかわらず晴れやかな雰囲気がありません。

コングレスハレ

そういえば劇場の各部門(オペラ、バレエ、演劇)のシーズン初日には
劇場総支配人が挨拶をしていますが
今回はありませんでした。
レクイエムだったのでなかったのでしょうか。
演奏の方はこれまでと同じような、もしくはこれまで以上に
音量の幅が大きな演奏でした。小さな小さな音から大きな迫力ある音まで
まるで音そのものが生きているような感覚があります。
演奏後のカーテンコールでは立ち上がって拍手をしている人が多く
公演の盛り上がりを意識すれば、これが最初の演目で成功だったと思います。
それにしても最後の音が消えそうになっている中、指揮者カミオカは10秒以上
指揮棒を下ろしませんでした。楽器奏者も腕を上げている状態で静止しています。
この10秒以上の沈黙のあいだ、
客席の方も咳一つ聞こえないほどに静寂に包まれています。
この間が指揮者にとって黙祷の時間だったのかも知れません。
街中にあるポスター。
映り込んでいる木を意識して。

ポスター

レクイエムは明日もあるのでもう一度聴いてみたいと思います。
また違った情景が見えるかも知れません。