ジークフリート線

数日前に撮ったものです。
奥に見えている小高い山は現在フランス領です。
帝政ドイツ時代、ヴァイマール共和制時代、ドイツ第三帝国時代は
ドイツ領でした。現在もそこにはドイツ兵の墓地があるなど
当時の名残が見られます。
現在の国境は山のふもと辺りにありますが、
道路に国境を示す案内があるだけで、例えば川や谷など
地理的な変化は何もないので、看板に気付かなければ
いつの間にか国境を越えているといった場所です。

ザールブリュッケン

フランス側を見ると非常にのどかな風景が広がっていますが
ドイツ側、地面近くに埋もれたコンクリートが見えます。

ザールブリュッケン

山の上の方を見るとコンクリートの壁のようなものが見えます。

ザールブリュッケン

こちらにも。

ザールブリュッケン

真ん中より上に見えています。これが数百メートルから1キロくらい続いています。

ザールブリュッケン

そのコンクリートの壁近くまで行ける道を上ると突然現れました。

ザールブリュッケン

コンクリートで出来た対戦車用の障害物です。
角度が急な方向がフランス方面に向いています。

ザールブリュッケン

ザールブリュッケン

この対戦車用障害物は所々途切れているものの
数百メートルから1キロ続いています。
その横、内側には道が続いています。

ザールブリュッケン

よく見れば石畳のようになっています。
このコンクリート製のものを運ぶために、
またドイツ軍の戦車移動のために敷かれたのかも知れません。

ザールブリュッケン

この三角形によく似た形をした障害物ですが
実際は一つ一つが独立しているのではなくて
大きなコンクリート製のプレートの上に置かれています。
正確にはプレートと一体となっており、プレートの
突起物といったところでしょうか。
数百メートル離れた別の場所にもありますが
こちらは障害物の角度の急な面がドイツ側に向いています。
間違えたのか、とりあえず置いただけなのかは分かりません。

ザールブリュッケン

これらはドイツ第三帝国時代、旧ドイツ軍によって作られた
対フランス用の防衛線「ジークフリート線」の一部です。
ジークフリート線はスイス・バーゼルからオランダまで延びた防衛線で
約630kmに及びます。
現在、これらは放置されているようになっていますが
記念物的なものとして残されているようです。
というのは、当時のドイツはここまでのものを作ったにもかかわらず
最終的にはその線も突破されています。軍事力が絶対という神話は崩れ、
反戦思想に繋がるものです。こんな山奥に多くの人の想いが詰まっているもの、
多くの人やその想いを守るものがあることを目にしたときに
色々と考えるものがありました。